こんにちは。悉皆いちひら代表の河野一平です。

「悉皆(しっかい)」着物業界以外の方にとっては、あまり聞くことのない言葉だと思います。

「ことごとくみな」着物に関することなら何でも、どんなことでもお任せを、そんな意気込みで自身の屋号に「悉皆」と入れました。「いちひら」はお察しの通り、私の名前である一平の読み方違いです。2004年、着物の世界に入る直前に亡くなってしまった父が名付けてくれた名前を冠して、「悉皆いちひら」として2024年春に独立し、京都の山科で仕事を始めました。

独立以前は約20年間、京都・祇園という着物に携わる人間にとって特殊で恵まれた環境の中、シミ抜きの職人として技術を磨き、多くのお客様とも接しながらシミ抜きのこと、着物のこと全般を学び修行しておりました。

接客や集配にも自身で直接伺ってご相談をお受けする中で、シミ抜きや染め替え、仕立直しのこと、リメイクなど着物のお手入れに関しては得意なのですが、正直なところ着装に関しては苦手意識があります。着物を着るのも自分で着ることが精一杯で、人様へのお着付けはできません。。。どんなことでもお任せ下さい、と「悉皆」を名に入れ意気込みながらも、恥ずかしながらこのように苦手なこともあります。

シミ抜きではクリーニング師、1級染色補正技能士、伝統工芸士の称号も得ることができ、何とかお客様のご期待にも応えれる形になってきました。でもまだまだ知らないこと、学ぶことがたくさんあり、この広くて深い着物の世界はとても面白いけど大変な世界で、続けてこられたのはたくさんの方々に今日まで支えていただいたおかげです。本当に感謝しかありません。

これからも人の想いや繋がりを大切にして、一職人として日々精進し皆様に喜んでいただける誠実な仕事をお届けしたいと思います。そして、伝統産業の未来がより良い形を描いていけるように、誰もが安心して着物を楽しめる、透明性と持続性のある業界を目指して、微力ながら努めていきたいと考えております。

 

河野一平