Q1 子供の式ごとで2回着用した着物があります。向こう数年は着る予定はなく、衿が少し汚れている程度です。半日ほど着用し少し汗はかいたかなと思います。丸洗いした方が良いですか?丸洗いは生地が傷むとか風合いが変わると聞いたこともありますが…

汚れの具合だけを考えますと、衿汚れを落とす衿洗いでも良いかと思います。ただ、年単位でご着用の予定が当分ないお着物ですので、丸洗いで全体を一度洗っておかれるのがベストです。併せて、汗をかかれているので汗抜きをし、後々の汗ジミになるのを予防されておかれるのが良いでしょう。

丸洗いについてご心配されている点ですが、まず傷んでしまうのではという点について、こちらはご安心下さい。石油系溶剤で全体を洗う丸洗いは生地への負荷はほとんどなく、乾燥によって気化性の強い溶剤の残留の心配もありません。ただ、仮にはじめから縫い糸が脆くなりホツレていたり、生地自体が傷んでいると、洗いの中でその部分がよりホツレてしまったり弱ってしまうことなどは起こりえます。

風合いが変化する点についてですが、こちらはお着物によってはごく稀に起こる可能性はあります。生地に特別な加工、例えば生地を柔らかくする加工や張りを持たせるような加工が施されているお着物は、丸洗いによってその効果が薄れ、風合いに多少なり変化が起きてしまう可能性があります。

問題は、これらの加工は着物の制作段階や市場に出る前に加工されていることがほとんどで、所有者であるお客様も販売店でもわからないことが多いのと、加工が施されているかどうかが見た目や触り心地ではわからず、生地の変化を予期することはほぼ不可能なことです。変化した風合いを完全に元に戻すことも困難で、多少なりは戻りますが着物を一度解いて加工をしなおす必要があり、それでもお客様のご希望通りの風合いになるかはやってみないとわからない部分があります。

ただ、この風合いが著しく変わるというのは可能性としてはございますが本当に稀なケースで、基本的には問題なく丸洗いをしていただけます。

Q2 久しぶりに着物を出してみたら全体にカビや茶色のシミが…裏地も全体茶色くなって濃いシミも出ています。着用予定はないけれど捨てる訳にもいかず、どうするのがベストでしょうか?

タンスにしまいっぱなしになりがちな着物によくある事例です。まずはその着物をカビ移りしないように他のものと離しておきましょう。

丸洗いでも表面上に発生したカビは多少なり落ちますし、部分的にカビ落としをすることも勿論可能ですが、既に見た目に多くのカビが発生しているということは、縫込みの内側や縫い糸にもカビが出て変色していることも十分考えられます。

また、糸や裏地の変色が着物に移ってしまうことも多いので、ベストを尽くすのであれば、一度洗い張りで水洗いをし、その上で入念なカビ落としや変色のお直しを、裏地は交換されて仕立て直してあげるのがお着物にとっては最も良い方法です。縫い直すことで縫い糸も一新され、耐久性もUPし、着物への変色移りも防げます。

「今は着る予定もないのでそこまでしなくても」と思われる場合でも、洗い張りだけでもされておかれた方が良いでしょう。解いて反物に戻し、水洗いすることでカビにも効果的ですし、裏地と縫い糸を引きはがすことで変色移りから生地を守ってくれます。

洗い張り後は反物状態で保管されて(保管も楽です)、後々着ようと思われた時にお仕立てされるのも一つの方法です。

Q3 祖母の着物が何枚かあり、それらを自分用のサイズに直せますか?小柄な祖母だったので、私とかなりサイズが違います。色褪せが目立つ着物もあるので、可能なら色も好きな色に変えたいです。

お着物を拝見させていただいて、縫込みの中に生地がどれだけ入っているかで、サイズがどこまで出せるかは変わります。

昔の着物の場合、反物の巾が元々狭いことも多く、よくあるのが裄寸法(手の長さの寸法)がご希望通り出せないことが多々あります。内揚げ(身丈の生地の余り)がなく身長に合わせた長さが取れないこともよくあり、その場合はあるだけの生地で出来る限りサイズUPする、または生地を接ぎ足すなどでご希望サイズに近づけることも可能です。

接ぎ足す生地は取れれば同じ生地、あるいは別の生地を着物と同じように染めて接ぎ足すこともあります。どうしても着物としてサイズが小さい場合は、羽織やコート、または帯にするのも良いと思います。

色褪せたお着物も染め直しによって綺麗に、また雰囲気を変えてお好みの色にもできます。薄い色から濃い目の色になされるならそのまま上から染めれます。色ヤケやシミがある場合は、色抜きや漂白をしてから染め直すとより綺麗に仕上がります。

元の色より薄い色をご希望の場合でも、色抜きをして染めることで希望の色にすることが可能になります。友禅染めや型絵染めの柄のある着物でも、柄をそのまま残して地色だけを変えることも可能です。もちろん、表地だけでなく八掛も染め直して雰囲気を変えることもできます。

Q4 お見積りは無料ですか?加工をキャンセルする場合はどうなりますか?

お見積りはすべて無料です。シミ抜きのテストをするため、一旦お預かりさせていただいても無料で拝見いたします。

加工をキャンセルされる場合は、加工前でしたら費用はかからずそのままお返しさせていただきますが、加工に進んでいる場合のお客様都合による途中キャンセルの場合は、進んでいる加工分のお代金は頂戴することになります。

また、加工代が発生しないお見積りのみやキャンセル分だけでのお届けの場合は、送料のご負担は発生しますのでご注意下さい。

Q5 ご依頼したいのですが、どのようにすれば?お支払い方法も教えて下さい。

将来的には出店を予定していますが、まだご来店いただきやすい店舗を構えてはおらず、今は私自身で集配にて対応させていただいております。京都市内の方は日祝を除き随時集配に伺えますので、ご希望の日時をお知らせ下さい。市内以外の方でも、当店山科工房より半径30㎞圏内は定期的に集配に回りますので、一度お問い合わせ下さい。

さらに遠方にお住まいの場合は、お着物を送っていただく形になります。

各配送会社いずれでも結構ですので、輸送中に大切なお着物が水濡れなどしないように気を付けてお送り下さい。お送りいただく際の送料につきましては、恐れ入りますがご負担いただくことになります。

当店からお着物を発送させていただく際の送料は、お着物の枚数に関わらず一律1,650円頂戴しております(北海道・沖縄地方・離島など一部エリア除く)。

お支払い方法ですが、直接集配では現金あるいはクレジットカードにて、お預かり時に決定している加工代の半分を頂戴してからの加工開始になり、残額はご納品時に頂戴することになります。

発送でのお取引の場合は、お見積り確定後の加工開始前に銀行振込にて加工代金をご入金をいただく、あるいはコレクト発送(代金引換発送)にてお届け時に全額をお支払いをいただくことになります。

Q6 無料集配エリア外に住んでいます。30㎞圏内の集配エリア内ではありますが、着物1枚でも取りに来ていただけますか?加工は丸洗いをお願いしたいのと衿元のシミ汚れが気になっているのと、汗も少し気になります。加工代が16,500円未満の場合に限り集配交通費2,200円が必要とのことですが、着物1枚では16,500円に満たないですよね?

1枚からでも、もちろんお伺いいたします。

お尋ねの加工代16,500円についてですが、お着物の状態にもより価格は異なってきますので、拝見する前段階では何とも申し上げれないところでございます。

仰っている加工内容であれば、丸洗い4,950円、汗抜き2,200円(丸洗いセット価格・胸元等標準的な汗抜きの場合)、衿元シミ3,300円(軽い変色程度)と仮定しても、合計10,450円(税込)となり16,500円には満たない金額になりますので、2,200円が発生してしまいます。

これまでの経験上、実際に拝見させていただくと気になされている箇所以外にもシミがある場合も多く、また縫い目のホツレや気付かれていない所でお直しが必要になることも良くあります。このような場合は1枚でも16,500円を超えることもありますが、例えば着用された長襦袢や帯も一緒に複数点でお手入れをお考えいただけますと、集配手数料が必要なくご利用いただける可能性が高くなると思います。

同じ町にお住まいでお稽古事が同じグループの方々が、皆さんで着物をまとめてご依頼いただくことで集配手数料なくご利用いただけている事例もあります。